アレルギー疾患
アレルギー疾患とは
皮膚科には蕁麻疹、薬疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、接触性皮膚炎、花粉眼瞼炎、蜂刺症に伴うアナフィラキシーなどアレルギーに関連した疾患が多くあります。
当院では血液検査、パッチテストなど各種検査をおこないます。
またスギ、ダニに対する舌下免疫療法やエピペンの処方などもおこなっております。
アレルギーにお悩みの方はご相談ください。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは
かつては、乳幼児に発症し、成長する頃には治癒すると言われていたアトピー性皮膚炎ですが、最近は成人になっても継続する、また大人になってから発症したというケースも見受けられるようになりました。原因としては、アトピー素因(アレルギー反応を起こしやすい体質)やドライスキン(乾燥肌)傾向にあるといったことが挙げられます。
なお思春期以降のアトピー性皮膚炎の患者様は、顔面や頸部、肘や膝の屈曲部に皮疹がよく見受けられます。主な症状は、かゆみ(掻痒感がある)、左右対称で湿疹(紅斑、丘疹、鱗屑、痂疲 等)の病変がある、長期に渡って繰り返し再発するといったことです。
治療について
治療は主に皮膚の炎症を抑える薬物療法とスキンケアになります。薬物療法では、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などが用いられます。スキンケアをする場合は、保湿剤を使用するほか、常に皮膚を清潔にするようにしていきます。そのほか、かゆみが強ければ、抗ヒスタミン薬を用いることもあります。重症例にはデュピルマブなど最新の治療も選択肢にあがります。
やけど
やけどとは
皮膚や粘膜に高温などの刺激が一定時間以上触れてしまうこと(熱湯がかかる、暖房器具に触れる など)で、皮膚組織が傷害を受けている状態をやけど(熱傷)と言います。なおやけどにつきましては、症状の程度によってⅠ度熱傷~Ⅲ度熱傷に分類されます。
Ⅰ度熱傷は表皮熱傷とも呼ばれるもので、表皮のみのやけどです。この場合、やけどした部位に紅斑やむくみ、ヒリヒリした痛みがある状態です。Ⅱ度熱傷は浅達性と深達性に分けられ、浅達性Ⅱ度熱傷は真皮の浅層までやけどが達している状態で、患部はびらん(表皮が欠損し、その下の組織が露出している状態)や水疱などがみられている状態で痛みもあります。水疱の底は赤みを帯びていて、水疱が破れると傷となりますが、瘢痕化はしにくいと言われています。また深達性Ⅱ度熱傷は、真皮の深層までやけどが達している状態です。浅達性と同じようにびらんや水疱がみられますが、水疱の底は白っぽくなっています。治療をすると1ヵ月程度かかるほか、瘢痕化やひきつれが起きやすくなります。この場合は痛みが軽度で知覚が鈍くなっています。Ⅲ度熱傷は一番ひどい状態のやけどで、皮下組織にまでやけどが及んでいます。この場合は、神経までダメージを受けていることが多いので、痛みや乾燥といった症状を感じることもありません。また水疱はなく、灰白色の壊死組織が見受けられます。
治療について
やけどの治療ですが、熱傷を負った直後の対応として、まず水道水で患部を冷やすようにしてください。その後の治療については、症状の程度によって内容が異なります。
Ⅰ度熱傷では、主にステロイドの外用薬を使用していきます。Ⅱ度熱傷では、ワセリンなどの油性基剤がベースとなっている外用薬や創傷被覆材といったものを使用していきます。Ⅲ度熱傷は、壊死した組織(デブリドマン)を除去していくほか、植皮手術も行うようにします。
にきび
にきびとは
正式名称は、尋常性ざ瘡です。これは女性にも分泌されている男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が亢進することによる皮脂の過剰分泌と、それによる細菌の増殖によって面皰が形成されます。この面皰が、にきびの元とされるアクネ菌の栄養源となって増殖していった結果、皮膚は赤みを帯びて隆起し、膿疱(膿の集合体)や色素沈着が現れている状態をにきびと言います。
過剰に皮脂が分泌しやすいとされる、思春期の男女によくみられ、顔面、胸背部など脂漏しやすい部位でよく発症します。なお膿疱を繰り返すようになると、治癒した後に凸凹した瘢痕化がみられるようになるので注意が必要です。
治療について
にきびはホルモンバランスの影響を強く受けるため、まずは、睡眠を含めた生活習慣の改善が重要となってきます。保険治療では抗生物質の外用・内服、スキンケア、漢方薬内服、アダパレン外用、過酸化ベンゾイル外用などがありますが、炎症の程度や症状によって使い分ける必要があります。また保険外治療として、ケミカルピーリング、ダーマペン、IPL、イソトレチノインなどを症状に応じてご提案させていただいております。
痕になってしまったにきびは、通常のにきび治療とは異なるアプローチが必要になりますが、まずは新しくできてくるにきびをコントロールする必要があります。その上で、炎症後紅斑、炎症後色素沈着、萎縮性瘢痕、肥厚性瘢痕の割合に応じて、IPL、エレクトロポレーション、ダーマペン、ステロイド局所注射、トラニラスト内服などをご提案させていただきます。
湿疹、かぶれ
湿疹、かぶれとは
湿疹とは、原因をはっきり特定することができない紅斑(赤いブツブツ)や丘疹、小水疱などの皮疹にかゆみが伴っている状態のことを言います。現時点では、ハウスダスト(ダニやペットの毛 など)や薬剤、食物、植物といった外的因子にアトピー素因やストレス、皮膚のバリア機能の低下などによる内的要因が組み合わさるなどして発症すると考えられています。
一方のかぶれは、正式には接触皮膚炎と呼ばれる皮膚疾患で、原因とされる物質(アレルゲン)に直接触れたことで発症する湿疹のことを言います。かぶれを引き起こす原因としては、金属製品、植物、化学物質などのアレルギー性接触皮膚炎、酸や強アルカリ、毒性の強い虫に触れるなどして発症する刺激性接触皮膚炎があります。また原因物質に触れた後に太陽光などの光を浴びるなどして、かぶれの症状がみられることもあります。これを光接触皮膚炎と言います。
治療について
原因が特定している湿疹であれば、原因物質を除去する、あるいは触れないようにする対策をしていきます。またかゆみの症状が強ければ、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服などの薬物療法が行われます。
水虫、爪水虫
水虫、爪水虫とは
水虫は、正式には足白癬と呼ばれています。なお白癬とは皮膚糸状菌(白癬菌)による感染症のことで、足以外にも手、頭部、体部、股部、爪などで発症することもありますが、最も多くの患者様を占めるのは足白癬です。
足白癬(水虫)は、ひとつのスリッパを不特定多数の人が履く、足拭きマットを複数の人で共有するといったことがきっかけとなって発症しますが、白癬菌が皮膚内に侵入して感染するまでに24時間かかるとされ、それまでに足を洗い流すことができれば感染は予防できますが、足に傷口などがあれば12時間程度で感染してしまうようになります。また高温多湿な夏の季節に発症しやすく、冬は発症しにくいとされていますが、白癬菌が残っていれば、春や夏の季節に再び発症するようになります。
なお水虫は、大きく3つのタイプに分類されます。ひとつは足の指の間に紅斑や小水疱、鱗屑などが発生する趾間型足白癬で、かゆみの症状も伴います。2つ目は、土踏まずなど足の裏に小水疱などが多発する小水疱型足白癬です。この場合、小水疱が発生するタイミングでかゆみの症状が強く出ることがあります。3つ目は、角化型足白癬と呼ばれるもので、これは足底や踵が角質化することで、皮膚表面が硬くなっている状態です。かゆみの症状が出ることはありません。
また、これら足白癬に続いて発症しやすいとされているのが爪白癬です(手の爪に発症することもあります)。これは、足の爪が白癬菌に感染している状態のことで、足の親指で起きることが多く、爪が白色や黄色に変色する、爪が変形あるいはボロボロと欠けるなどの症状がみられます。なお、かゆみなどの自覚症状は出ません。
治療について
足白癬の治療では、薬物療法が中心で、主に抗真菌薬の外用薬が用いられます。ただ、角化型の場合は外用薬では浸透しにくいので、抗真菌薬の内服薬を使用していきます。また爪白癬では、抗真菌薬の内服薬を使用していきます。
いぼ
いぼとは
正式には尋常性疣贅と呼ばれています。これは、皮膚の小さな傷口からヒトパピローマウイルス(HPV)が侵入し、皮膚細胞に感染することで発症するものです。皮膚のあらゆる部位で起き、子ども~ご年配の方まで全ての世代でみられるとされていますが、なかでも子どもに発症しやすく、手のひらや足の裏、頸部、顔面といった部位でよくみられるのが特徴です。
いぼは自覚症状はなく、直径が約1cm未満のものが大半で形は円形のものもあれば、不規則なものもあり、色も茶色や灰色など様々で、発症部位によって特徴が異なります。足の裏に発生する場合(足底疣贅)は、常に圧迫を受けるので盛りあがることはありません。そのため、たこやうおのめに見た目が似ていることもあります。また歩く際に痛みが出ることもあります。また顔面や頸部に発生する場合は、細長く伸びた糸状のいぼ(糸状疣贅)がみられるようになります。
治療について
いぼは、例え放置したとしても生命に関係することはないので、いぼの数が少ない、いぼ自体が大きくないということであれば、そのままということも珍しくありません。そのため治療に至るケースというのは、見た目が気になるので除去したい、HPVを巻き散らして、さらに増やす可能性があるという場合に行います。治療をする場合は、液体窒素療法を用いた凍結療法をはじめ、電気凝固、レーザー照射、ヨクイニンの内服などが行います。
ちなみにいぼの治療の大半は、液体窒素療法となりますが、この場合は1回では治りきりませんので、1~2週間に1回のペースで何回か通院するようになります。
たこ、うおのめ
たこ、うおのめとは
慢性的あるいは繰り返しの圧迫や摩擦といった物理的な刺激によって発生する炎症のない角下症のことをたこ、あるいは魚の目と言います。
たこは皮膚の一部に常に圧力が加わり続けることで、その部位を守ろうと角質が増殖してしまうことで厚くなっている状態を言います。たこには、ペンだこや座りだこといったものがありますが、いずれにしても違和感はみられるものの圧痛などの症状はみられません。
一方のうおのめは、物理的な刺激を主に足で受け続けることで、角層が肥厚していくのですが、その中心というのが真皮の方に深く入り込んでいくので、圧痛がみられるようになります。また、その見た目が魚の目や鶏の目に似ていることから、うおのめあるいは鶏眼と呼ばれるようになりました。うおのめの発症原因は、サイズや幅の合わない靴を履いている、開帳足、歩行バランス悪いといったことなどが挙げられます。
治療について
たこ、うおのめを治療する場合は、まず物理的刺激が起きる原因を突き止めて、それを回避することと肥厚している角層の除去となります。ただし、圧痛などの症状がなければ治療の必要はありません。
除去する場合は、サリチル酸を使用して皮膚を軟らかくしてから切削する、液体窒素を用いるなどの方法があります。
脂漏性皮膚炎(ふけ・かゆみ)
脂漏性皮膚炎とは
乳児と思春期~40歳の世代に発症しやすいとされる皮膚疾患で、後者の場合は男性に起きやすいと言われています。ここでは主に思春期以降にみられる症状を説明します。
主な症状ですが、皮脂の分泌が多い部位(頭部、顔面、腋嵩 など)で湿疹がみられるほか、頭部からフケのようなものが落ちたり、頭皮などが赤くなっていたりします。かゆみの症状はあっても軽度です。このような症状が慢性的にみられ、良くなったり悪くなったりを繰り返します。なお発症の原因は特定されていませんが、アンドロゲン(男性ホルモン)による皮脂分泌の亢進などが挙げられています。
治療について
まずはスキンケアとして石鹸やシャンプーを使用して、肌を清潔に保っていきます。また患部にステロイドの外用薬を用いることもあります。このほか、皮膚の常在菌マラセチアが発症に関与していることもあるので、抗真菌薬の外用薬を使うケースもあります。
脱毛症
脱毛症(円形脱毛症)とは
脱毛症は、毛が抜けるなどする毛器官の疾患のことを言いますが、よく知られているものに男性型脱毛症(AGA)、円形脱毛症、抜毛症(患者様自身が自分の毛髪を引き抜いてしまう)などがあります。ここでは円形脱毛症について説明します。
円形脱毛症は、境界がはっきりした円形の脱毛斑(直径2~3㎝程度のコインのような丸い形)がみられている状態です。タイプとしては通常よくみられる単発の脱毛斑(最も多い)や脱毛斑が多発しているものですが、頭髪の大部分が抜けてしまう、頭髪以外にも眉毛、腋毛、陰毛などの体毛も抜け落ちるといった場合も同疾患に含まれます。
また原因については特定されていませんが、遺伝的要因のほか、自己免疫やストレスが関係しているのではないかと言われています。
治療について
円形脱毛症は、自然治癒することもありますが、治療を行うことでより早く毛髪再生を促すことができます。当院では、患者様の症状に合わせて、以下の治療法を適宜選択・組み合わせ、最適な治療プランをご提案します。
男性型脱毛症(AGA)は→こちら
薬物療法
- ステロイド外用:炎症を抑え、毛髪の成長を促進します。
- カルプロニウム塩化物外用:免疫機能を調整し、毛髪の成長を促進します。
- 抗ヒスタミン薬内服:アレルギー反応を抑え、毛髪の成長を促進します。
- セファランチン内服:血行を改善し、毛髪の成長を促進します。
- グリチルリチン製剤内服:抗炎症作用と抗アレルギー作用があり、毛髪の成長を促進します。
- ミノキシジル外用:毛髪の成長を促進し、太くします。
光線療法
- 紫外線療法:免疫機能を調整し、毛髪の成長を促進します。
その他の治療法
- 凍結療法:毛根に低刺激を与え、毛髪の成長を促進します。
- ステロイド局所注射:脱毛部位に直接ステロイドを注射し、炎症を抑えます。
- ステロイドパルス療法:ステロイド点滴を3日間連続で行い、効果の度合をみながらそれを繰り返します。
- ステロイド内服:症状が重度の場合は、ステロイドを内服します。
- 局所免疫療法(SADBE):患部に刺激を与え、免疫機能を調整します。
- JAK阻害薬内服:新しい治療法で、JAKと呼ばれる酵素を阻害することで、脱毛を抑制します。
難治性の場合はステロイド局所注射、ステロイドパルス療法、ステロイド内服、局所免疫療法(SADBE)、JAK阻害薬内服などが必要になることがあります。
帯状疱疹
帯状疱疹とは
水ぼうそうを引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したことがある方が発症する病気です。子どもの頃に水ぼうそうに罹患した方も多いかと思いますが、同ウイルスに一度でも感染すると体外に排出されることはなく、神経節に潜伏し続けます。
その後、成人になって年をとり、免疫力が低下するようになると潜伏していたウイルスが活発化し、やがて体の片側の一部(胸、背中、腕、頭部、顔面など上半身が中心)に神経痛に似た痛み(ピリピリ、チクチク、ズキズキ など)がみられるようになります。その数日後には、皮膚症状として皮膚の表面が発赤し、やがて水疱から膿疱、痂疲(かさぶた)と変化していき、これらは通常であれば2~3週間程度で治まるようになりますが、患者様によっては皮膚症状が治まっても神経痛のような痛みがとれないことがあります。これを帯状疱疹後神経痛と言います。発症後3ヵ月以上痛みが続いている場合は要注意です。
治療について
治療では主に抗ウイルス薬を使用していきます。また痛みが強く出ている場合は、NSAIDsやアセトアミノフェン、ビタミンB12、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤を使用したり、鎮痛薬の外用をします。
また帯状疱疹に関しては、あらかじめ水痘ワクチンを接種することで予防することもできます。
じんましん
じんましんとは
何の前触れもなく、境界がはっきりした赤いかゆみのある少し隆起した発疹(円形、楕円形など形は様々)が発生するものの、数時間~24時間以内には何もなかったように皮膚症状が消失してしまうのがじんましんです。ちなみに発疹は特定の部位に限らず、全身のあらゆる箇所で発生する可能性があります。
なお、じんましんは大きく原因が特定できない特発性じんましんと、ある特定の刺激が引き金となって発症する原因がはっきりしている刺激性誘発型じんましん(アレルギー性、アナフィラキシー、コリン性、物理性、薬物性、何らかの外来刺激に接触する など)に分けられ、原因の7割近くが特発性じんましんと言われています。
また特発性については、急性と慢性に分けられ、発症から6週間以内に治まる場合を急性じんましん、6週間以上続いている場合を慢性じんましんと言います。なお小児の患者様で急性の場合は、何かしらの感染症によって引き起こされるのではないかということも考えられています。また慢性は、原因を特定するのは困難なのが特徴で大半の患者様は、夕方から夜間にかけてじんましんの症状が出て、翌朝や翌日の午前中あたりには消失するというパターンを繰り返すようになります。
治療について
特発性じんましんの患者様では、抗ヒスタミン薬の服用が中心となります。慢性の患者様の場合は長期に渡って内服することになりますが、症状が抑えられるようになれば量を減らすなどしていきます。原因が特定している場合は、じんましんを誘因するアレルゲンや刺激物を除去するなどしていきます。
口唇ヘルペス
口唇ヘルペスとは
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)に感染すると、ヘルペス性歯肉口内炎や性器ヘルペスなどの感染症を発症するようになるのですが、これらの症状が治まったとしても同ウイルスは三叉神経節に潜伏し続けます。その後、発熱や紫外線、ストレスなどから免疫力が低下するようになると、HSV-1が再び活性化することで、唇およびその周囲に痛みが出て、やがて水疱となって、かさぶたになっていきます。発症から1週間程度で治癒すると言われています。なお口唇ヘルペスは、初めてHSV-1に感染することで発症するものではなく、潜伏している同ウイルスが活性化することで現れる回帰発症です。
治療について
主に抗ヘルペスウイルスを服用していきます。
乾癬
乾癬とは
一口に乾癬と言いましても、尋常性乾癬をはじめ、滴状乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎と種類があるわけですが、日本人の患者様の9割近くを占めるとされているのが尋常性乾癬です。なお乾癬自体の発症率は日本では0.3%程度と言われています。
尋常性乾癬は20~40代の男性に起きやすいとされ、銀白色の厚くなっている鱗屑が付着している境界がはっきりした赤茶色の発疹がみられるようになります。これは全身どの部分でも発症する可能性はありますが、よく見受けられるのは、頭部、肘、膝、臀部、背中といった部位です。なお発症していない部分の皮膚を機械的に刺激するとその部分も発症することもありますし、患部を擦るなどすると鱗屑状のものがボロボロと落ち、さらに強く擦れば点状の出血もみられます。これ以外にも爪の変形が現れることもあります。
原因については明らかになっていませんが、免疫機能の異常が発症に関わっているのではないかと考えられています。
治療について
治療の基本は、外用薬による薬物療法でステロイド(抗炎症、免疫抑制)や活性型ビタミンD3(過剰な皮膚の増殖を抑えていく)を使用していきます。このほかにも光線療法(紫外線照射)、内服療法(レチノイド、シクロスポリン など)を用いることもあります。また難治の場合は、生物学的製剤を使っていきます。
異所性蒙古斑
異所性蒙古斑とは
蒙古斑とは、黄色人種や黒人によくみられるとされる出生時からの臀部やその周囲にある青色のあざのような母斑のことです。これは小学校に入学する時期(学童期)までには消失すると言われています。異所性蒙古斑は、お尻以外の場所(例えば、足、腕、腹部 など)でみられる蒙古斑のことで、この場合は通常の蒙古斑と比べて消えにくいという特徴があります。
なお発生する原因については、胎児でいるときにメラニンを生成するメラノサイトが真皮(表皮の下)に残ることで生じると言われています。これがお尻以外でも発生してしまうと異所性蒙古斑となるわけです。
治療について
母斑の色が強くて、自然に蒙古斑が消えないという場合は、QスイッチルビーレーザーやQヤグレーザーといったレーザー療法によって消すようにします。治療については先天性のあざということになるので、保険は適用されます。
多汗症
多汗症とは
多汗症は、日常生活に支障をきたすほど過剰な汗をかいてしまう疾患です。全身性多汗症と局所多汗症の2種類があり、それぞれ原因や治療法が異なります。
当院では、皮膚科専門医が患者様の症状に合わせた最適な治療法を提案いたします。
多汗症の種類と原因
全身性多汗症
- 原発性全身性多汗症:原因不明
- 続発性全身性多汗症:甲状腺機能亢進症、糖尿病、薬剤(向精神薬)など
局所性多汗症
- 原発性局所多汗症:原因不明
- 続発性局所多汗症:脳梗塞など
当院の多汗症治療
主に頭部、顔面、手掌、足底、腋窩などの原発性局所多汗症が治療対象となります。当院では、以下の治療法を症状に応じて提案しております。
エクロックゲル
ラピフォートワイプ
ボトックス注射
アポハイドローション
塩化アルミニウム
抗コリン薬内服
など
多汗症は、適切な治療によって改善することができます。お悩みの方は、ぜひご相談ください。
酒皶(しゅさ)/赤ら顔
酒皶とは
中年以降の女性に多く、顔面に生じる毛包皮脂腺や血管が侵される慢性炎症性疾患で、赤ら顔の原因の一つです。原因は不明ですが、遺伝的素因、寒冷、温熱、日光暴露や、飲酒・香辛料・喫煙などの刺激物の摂取、運動、血管の不安定性、毛包虫などが考えられています。
症状としては特に眉間、鼻部、頬部に発赤と毛細血管拡張が持続性にみられます。また病態により紅斑性酒皶(発赤)、酒皶性ざ瘡(発赤と膿疱)、鼻瘤(腫瘤)に分類されます。赤ら顔をきたす疾患は、ステロイド酒皶、口囲皮膚炎、酒皶様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、光線過敏症、蝶形紅斑、サルコイドーシス、顔面播種状粟粒性狼瘡、好酸球性膿疱性毛包炎など様々で鑑別が重要となってきます。
治療について
酒皶は生活習慣の改善や病態に応じた適切なアプローチが必要です。当院ではロゼックスゲルなどの保険治療から、アゼライン酸外用・IPL治療などの保険外治療を症状に応じてご提案させていただきます。